最近、日々の暮らしをサポートする食材として特定の成分の栄養価が高い「スーパーフード」が注目されています。スピルリナ(spirulina)もそのようなスーパーフードのひとつで、犬や猫のフードやおやつに配合されていることがあります。

この記事はこんなことが気になる人におすすめ
・スピルリナってどういうものなの?
・スピルリナの栄養価や機能性は?
・犬にスピルリナをあげるメリットは何?
・犬にスピルリナを与えて危険はないの?
・スピルリナをあげるときの注意点は?

目次

スピルリナとは?

スピルリナの誕生は、35億年以上も前の地球環境の創世記にさかのぼります。この時代に誕生した地球最古の生物の一種で、あらゆる動植物の起源ともいわれています。

スピルリナとはラテン語で「らせん」「ねじれる」を意味します。細胞がコルクの栓抜きのようにねじれた形をしており、全長はわずか0.3~0.5 mmほどしかありません。色は緑青色で、生物学の分類としては「微細藻類(びさいそうるいマイクロアルジェ)」という植物プランクトンの仲間に入ります。

スピルリナは、一般的な藻類とは異なり、高温や高塩分という過酷な環境下で繁殖できる強力な生命力を持っています。実際に、自然界ではアフリカや中南米の熱帯から亜熱帯地方、塩湖であるアラビア半島の死海などに多く生息しています。

スピルリナは死海のような過酷な環境でも生きていけます

現在、その栄養価と生命力の高さに注目が集まっており、世界の国々の人工池で大量に培養されてサプリメントや医薬品などの医療・健康バイオ分野で活用されています。また、SDGsの機運が高まる中、環境バイオ技術、バイオマス資源の領域での可能性も期待されています。

スピルリナの栄養価は?

スピルリナが「スーパーフード」と言われるのは、もちろんその栄養価がとても高いからです。

スピルリナは、50種以上の栄養成分でできていると言われています。ビタミン・ミネラル・アミノ酸に加え、タンパク質・食物繊維・多糖体・不飽和脂肪酸などの栄養素が含まれています。

中でもタンパク質の含有量は50~70%と非常に高く、タンパク質を構成するアミノ酸は18種で犬に必要な10種の必須アミノ酸をすべて含んでいます。

スピルリナの栄養特性には主に以下のようなものがあります。

【スピルリナの栄養特性】
・タンパク質含有量が高い
・必須アミノ酸が全て含まれる
・赤血球や核酸の働きに関係するビタミンB12を多く含む
・β-カロテン、クロロフィル、フィコシアニン(青色色素)、ビタミンC、ビタミンEを含む
・抗炎症作用をもつとされるγ-リノレン酸の生成を促す
・鉄分や亜鉛など数多くの重要なミネラルを含む

また、ヒトの研究結果では消化率が95%ともいわれ、栄養素が体内にスムーズに消化吸収される特徴を持っています。

犬にスピルリナを与えるメリットは?

スピルリナは、ヒトの世界ではまず重要なタンパク質源として注目されています。もちろん、犬に与える場合も、必須アミノ酸を補充する効果は期待できますが、犬の場合は普段のフードに十分なタンパク質が含まれていることが多いため、「タンパク質源としてのスピルリナ」というメリットは薄いかもしれません。

しかし、スピルリナに含まれるβ-カロテンやクロロフィル、フィコシアニン(青色色素)、ビタミン、ミネラルなどの微量要素の働きに注目して機能性食材として取り入れるメリットがあります。

特に、スピルリナ特有成分である「フィコシアニン(青色色素)」は抗酸化作用をもつと言われています。また免疫機能をサポートしたり炎症を抑制する機能もあるとされ、エイジングケアに有効な成分として非常に注目されています。

また、スピルリナは赤血球や核酸の働きに関係するビタミンB12もたっぷり含んでいます。ビタミンB12は通常、レバーなどに多く含まれ、植物性の食品には含まれていない栄養素ですが、スピルリナにはしっかりと含まれています。ビタミンB12は貧血の予防や疲労回復に欠かせない栄養素です。スピルリナを与えることで、ビタミンB12を手軽に補給できるメリットがあります。

さらに、スピルリナの有効成分はγ-リノレン酸(ガンマリノレン酸)の生成を促すという研究報告があります。γ-リノレン酸はオメガ6脂肪酸の一種で、アトピー性皮膚炎など皮膚の炎症との関連性が多く示唆されています。DHAやEPAと組み合わせて与えることで皮膚の状態が改善したという報告もあります。アレルギーや皮膚トラブルに悩む子をサポートする栄養素として期待できるかもしれません。

犬にスピルリナを与えて危険はないの?

栄養補助食品としてのスピルリナは新しいトレンドではなく、古代から何世紀にもわたって使用されてきた歴史があり、近代になってさらによく研究されている素材であるため安全性は高いと考えられます。

犬や猫ではまだ研究段階の部分もありますが、スピルリナの持つ機能性や栄養価が高く評価され、多くのプレミアムペットフードやハーバルサプリメントに配合されています。

どんなに優れた食材であっても良い点と注意点はありますので、スピルリナを頼って偏った食事を与えたり大量に与えたりするのは避け、バランスよく取り入れられると良いと思います。

犬にスピルリナをあげるときの注意点は?

スピルリナの特徴でもある「フィコシアニン(青色色素)」は、その名の通り美しいブルーの色をしています。スピルリナには緑色の色素を持つクロロフィルも含まれるため、素材としては青緑のような色合いになります。この色は、食べ物としてみた時には、残念ながら、食欲をそそる色合いではないかもしれません。手作り食の色合いにこだわりたいときなど、見た目をハッピーな色にしたいときには注意が必要です。

スピルリナには、藻類特有の香りがあり、少し生臭く感じる場合があるかもしれません。この香りを好まない犬もいますので、様子を見て少量からあげてみてください。

また、スピルリナのタンパク質含有量や栄養価がいかに高いと言っても、与える量が少量であれば体に入る栄養の総量は限られています。スピルリナはあくまで栄養サポート食材、機能性食材として活用し、信頼できるペットフードやお肉・お魚のバランスのとれた手作りごはんと組み合わせてあげてください。

最後に、特定の病気の治療のために、血液を固まりにくくする(血栓予防、血をサラサラにする)お薬を服用している場合、スピルリナの成分がお薬の働きを弱めてしまうかもしれません。血液系のトラブルを抱えている子は、かかりつけの獣医師の先生と相談してみてください。

・色合いに注意(青緑色)
・香りに注意
・食事全体のバランスに注意
・血液をサラサラにする薬を服用している場合は獣医師に相談を

まとめ

太古の昔から灼熱の時代や氷河期などの環境変化に負けず生き延びてきたスピルリナは、大変生命力が強く、微生物と緑黄野菜の両方の栄養素を併せ持っています。

また、培養に多くの水を必要としないため、地球環境に配慮しながら貧困地域の飢餓・栄養不良を撲滅させる手段として期待され、WHO(世界保健機関)も推奨しています。NASA(米国航空宇宙局)では宇宙未来食糧としても研究されています。

犬との暮らしでは、皮膚トラブル、免疫サポート、眼の健康、シニア犬の元気UPや疲労回復など、いろいろな場面で活用できる素材です。

ワークショップで使う食材の中では、ドクターハービーズのハーブブレンドに必ず入っている素材です。気になった方は、ハービーズのハーブを選んでみてくださいね。

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