朝食のシリアルやダイエットのお供としてお馴染みになったオートミール。なんとなく体に良さそうなイメージで、一度は買ってみた、という方も多いのではないでしょうか?
オートミールが好きでいろいろ活用している!という人も、買ってはみたもののいまいちどうしていいか分からず余ってしまう、という人も、栄養特性や注意点、うちの子と一緒に楽しむポイントを知れば、オートミールの登場シーンが広がるかもしれません。
今回はオートミールの栄養特徴や機能性と注意点、ハーブとしての役割、犬との暮らしでオートミールを活用できるシーンなどを掘り下げてみます。
この記事はこんなことが気になる人におすすめ
・オートミールの栄養価や機能性は?
・ハーブとしてのオーツ麦にはどんな役割を期待できるの?
・犬にオートミールをあげるときの注意点は?
・オートミールの活用シーンは?
オートミールの栄養成分と機能性
オートミールの原材料は、オーツ麦という麦の一種です。オーツ麦は、和名では「燕麦(えんばく)」や「からす麦」と呼ばれ、ビスケットやクッキーの原材料としても利用されています。
そのオーツ麦を、蒸したり、挽き割ったり、ローラーで平たく伸ばしたりして、食べやすく加工したものが「オートミール」です。加工方法によっていろいろな種類がありますが、いずれも麦の外皮を残したまま加工されますので、食物繊維やミネラルを豊富に含んだ全粒穀物としての栄養価を持っています。
オートミールは、穀類の中ではタンパク質価が高く、ミネラル類を豊富に含んでいるという栄養特性があります。また、食物繊維を非常に多く含んでいることも特徴です。
オートミールの繊維量は白米の20倍、玄米の3倍ともいわれています。食物繊維は水溶性・不溶性ともに、腸内に溜まった不要な老廃物を体外へ排出する働きを持ち、腸内の善玉菌を増やす作用があるため、上手に活用すれば腸内環境を整える効果を期待できます。さらに、殻付きの状態であるため、食べた後に急激な血糖値の上昇が起こりにくい食材と言われています。
オートミール・白米・玄米・キヌアの主要な栄養成分を比べてみました
お米とオートミールは、エネルギー(カロリー)はほとんど変わらないのに、栄養組成はけっこう違います。オートミールはキヌアとよく似た栄養組成ですね!
オートミールの栄養特性
・穀類の中ではタンパク質が多い
・穀類の中ではミネラル(カルシウム・リン・鉄分など)が多い
・食物繊維の量が多い
・エネルギー価(カロリー)は白米とほとんど変わらない
・血糖値の急激な上昇が少ない
ハーブ(薬草)としても活用されているオーツ麦
オートミールの原材料であるオーツ麦は、伝統的にハーブ(薬草)としても活用されています。ハーブとして活用されるのは、オートミールになる「実」の部分ではなく開花後の未熟な種子や茎の部分が主となります。
病後の気力や体力の回復など滋養強壮を目的として使われるほか、特に神経系に栄養を与え強化する目的で活用されています。例えば、年齢やストレスなどで衰弱したり反応が弱くなったりしている子の元気のスイッチを入れたいようなシーン、あるいは気持ちの高ぶりや落ち込みをケアしたいシーンで活用できるハーブです。
また、痺れや震え、けいれんなどの神経症状のケアにも効果があると考えられています。
ワークショップで使うハーブでは
・関節ケアハーブ
にオート麦茎がブレンドされています。
オーツ麦のハーブとしての特性
・滋養強壮、血流改善などの役割
・神経系のケアと強化(反応の促進、抗けいれん、痺れのケア)
・気持ちのサポート(抗うつ・抗不安)
犬との暮らし オートミールの活用シーン
オートミールは、犬たちの手作り食のベースや手作りおやつの食材として活用することができます。
オートミールには水溶性繊維と不溶性繊維がバランスよく含まれているため、腸内環境を整えてくれる効果を期待できます。また、糖質の吸収が穏やかであるため、食後の満腹感が続きやすく食欲のコントロールにも役立ちます。
繊維質は、犬によって「適切な量」の個体差が大きく、多すぎると下痢や軟便のもとになってしまうことがあります。しかし繊維質が少なすぎるとウンチが硬くなりすぎたり、硬いウンチが出たかと思えば緩くなるというような「お腹が安定しない」状態になることもあります。
うちの子の様子をみて「ちょっと繊維を足したいな」とか「ちょっと炭水化物をあげたいけど、お米やおイモでは消化が早すぎるな」というシーンで、オートミールはちょい足ししやすい頼れる食材になります。
初めて与える際は、ぬるま湯やヤギミルク、ヨーグルトなどでよくふやかしてあげること、一度に大量にあげないこと、がポイントです。うちの子のお腹に合いそうなら、バナナやブルーベリー、リンゴなど好きなフルーツと合わせて、ヒトと一緒に楽しむのも素敵ですね!
オートミールと好きなお肉を合わせて、クッキーのようなジャーキーのようなオヤツを作ってあげると大喜びです!
オートミールの活用シーン
・手作り食や手作りオヤツの食材として
・食物繊維のバランスをとるための食材として
・タンパク質・ミネラル類の栄養補助として
犬にオートミールをあげるときに注意したいこと
繰り返しになりますが、オートミールは繊維質が豊富なのが良いところであり、注意ポイントでもあります。犬たちの体質によって、ある程度繊維質を摂ったほうが腸内環境が安定して調子が良い子もいれば、繊維質の消化が苦手な子もいます。
その幅はとても個体差が大きいので、うちの子の様子をみながらあげてみてください。
また、オートミールは「カルシウムが豊富に含まれる」という情報が多く見受けられます。確かに穀類の中でカルシウム含有量は豊富なのですが、オートミールにはカルシウムだけでなくリンや鉄分など、ミネラル全般が豊富に含まれています。
カルシウムとリンは、どちらも生命維持に必要不可欠なミネラルです。しかし摂取するバランスが重要なミネラルでもあります。手作り食などでオートミールをカルシウム源として認識してしまうと、結果的にリンの量の方が過剰になってしまい、全体のミネラルバランスが乱れる可能性がありますので注意が必要です。
カルシウムだけに注目するのは危険ですね…
ミネラル全般が豊富!と認識しておくほうが近いです。
オートミールの注意ポイント
・良くも悪くも繊維が豊富。大量にあげないこと。
・カルシウムや鉄に加えて、リンやカリウムなどミネラル全般が豊富。ミネラル制限のある子は注意。
→うちの子の体質や体調に合わせて取り入れるとGOOD!
まとめ
オートミールは「穀類」で「炭水化物」ですので、犬たちにとって日常的に必須の栄養素ではありません。
ですが、ヒト用に買ったオートミールを少し犬たちにお裾分けして、一緒におじややクッキーを楽しむことができれば、なんとなくオートミールがもっと美味しく感じるような、連帯感が生まれるような。犬とヒト、お互いのごはんを健康的にちょっとアップデートできるような感じがします。
オートミールを活用する場合は、ハーブの機能面よりは栄養補助の意味合いが強くなると思いますが、成分としてはオーツ麦そのものが持つ神経の健康をケアするハーブの効果も期待できるかもしれません。
繊維質やミネラルの特徴を活かして、上手に取り入れられると意外と重宝する食材になると思います。