クランベリーやブルーベリーは、抗酸化成分のポリフェノールやビタミン類などたくさんの機能性成分を含んでいて、犬用のおやつやサプリメントが市販されています。
一方、「ぶどう」や「レーズン」は一般的には犬に与えてはダメ、とされているフルーツです。
ドライクランベリーとレーズンなんて、ビジュアルはほとんど同じような感じなのに・・・
この記事では、犬との暮らしに役立つクランベリーやブリーベリーの栄養特性と注意点、ベリーは良くてブドウはなぜNGなのか、掘り下げてみます。
この記事はこんなことが気になる人におすすめ
・クランベリーやブルーベリーを犬にあげるとどんなメリットがあるの?
・クランベリーやブルーベリーはどんな犬におすすめ?
・犬にクランベリーやブルーベリーをあげるときの注意点は?
・ブドウはなぜ犬にNGなの?
・ブドウとクランベリー・ブルーベリーの違いは?
ブドウとクランベリー・ブルーベリーは、種類が違う
果実の部分だけ、あるいはドライフルーツになった状態を見ると、なんとなく同じ仲間のように思えるブドウとクランベリー・ブルーべりーですが、実は植物の種類が全く異なります。
(グレープ・レーズン)
ブルーベリー
左:ブドウの木 右:クランベリーの木
ドライフルーツにしたときの見た目が似ているのみならず、ブドウとクランベリー・ブルーべりーには、甘酸っぱい、赤や紫の小さくて丸い果実、ポリフェノールを多く含む、という共通点があるので、余計に混乱しがちです。
ですが、植物の成り立ちとしては、それぞれだいぶ異なるカテゴリーに属していることを知っておくと区別しやすいかもしれません。
ちなみに、ラズベリーやブラックベリーはバラ科キイチゴ属の植物です。
イチゴがバラ科というのは知っている人も多いかもしれませんね!
ラズベリーやイチゴは犬と一緒に食べられるフルーツです。
ブドウは犬に与えてはダメな食材なの?
ブドウやレーズンが犬にNGという考え方が広まったのは、2001年にアメリカの研究者らによって犬の「ブドウ中毒」が報告されたことが始まりと言われています。
この報告は、ブドウやレーズンを摂取した犬43頭が腎機能障害を発症し、半数の犬が急性腎不全で亡くなったというものです。
ただ、実のところ、この報告では、ブドウに含まれるどの成分が影響してこのような中毒症状を引き起こしたのか、という部分は明らかになっていません。もっと言えば、中毒の原因がブドウの成分だったのか、あるいは栽培時の農薬やカビ毒などが影響したのかも特定されていないのが実情です。
このことから、一部ではブドウそのものの成分は犬にとって悪影響はなく、農薬やカビが問題だったのでは? つまり、ブドウそのものは犬に与えても大丈夫なのでは? という意見の人もいます。
結局のところ、「真相は分からない」ということが現段階で分かっていることです。
個人的には、ブドウに犬たちの腎臓を急激に悪化させるような成分が入っていれば、その正体が明らかにならないのは不思議な気がします。しかし一方で、まだまだ未知の成分や犬特有の体質があるかもしれないという中で、このような研究報告が発表された以上、ブドウやレーズンを積極的に与える理由もないと考えています。
ブドウに罪はない、かもしれませんが、実際に中毒症状が報告されていることは事実なので現時点では避けておく方が安心です。
クランベリーやブルーベリーが持つ栄養成分とおすすめの活用シーン
一方、ツツジ科スノキ属であるクランベリーやブルーベリーは、犬や猫の健康維持をサポートするフルーツとして、ドッグフードやおやつ、サプリメントなどの原材料で大活躍しています。
どのベリーも、抗酸化成分であるポリフェノールを多く含み、元気に歳を重ねるためのエイジングケアをサポートしてくれます。
ブルーベリーは、眼の健康維持に欠かせないアントシアニンを多く含みます。白内障のようなトラブルに直接的に効果があるかどうかはまだ研究段階ですが、少なくとも目の中の網膜にあるロドプシンという物質の再合成を助ける作用があることが分かっています。ロドプシンは、目の疲労を取り除き、感度(特に暗いところでの視力)を向上させると言われています。
無糖のヨーグルトやカッテージチーズにブルーベリー合わせてあげるおやつは、ほとんどの子が大好物です。
また、クランベリーには「プロトジアニン」と「キナ酸」という成分が含まれているのが特徴です。プロトジアニンは、膀胱粘膜に細菌が付着するのを防ぎ、キナ酸は肝臓で代謝されて尿のpHを弱酸性に導く機能をサポートすると言われます。
このことから、クランベリーは、膀胱炎を繰り返してしまう子やストルバイト尿結石に悩んでいる子に特におすすめの食材です。
・ブルーベリーは瞳の健康をサポートしたい犬たちにおすすめ
・クランベリーは膀胱炎、ストルバイト尿石などオシッコトラブルのケアにおすすめ
・どちらのベリーもポリフェノールがたっぷり。シニア犬の健康サポートにおすすめ
ブルーベリーやクランベリーを犬にあげるときの注意点
まず、フルーツ全般に言える注意点として、糖分を多く含むため与え過ぎは禁物です。また皮の部分は消化しにくい繊維質であることが多く、犬によっては吐き戻しや消化不良の原因となる場合があります。
うちの子のおなか具合を観察しながら、量を加減したり、加熱したり細かくカットしたり、適切な調理をしてあげてください。
また、ベリー類はドライフルーツやジュースとして市販されている場合も多い食材です。このような加工品の場合、フルーツの糖分以上に砂糖類が加えられているものが多いので、よく注意して選ぶようにしましょう。
ドライフルーツの場合、防腐剤が添加されていたり、砂糖漬けの処理をされていたりすることが多いです。原材料を良く確認して選びましょう!
また、クランベリーは膀胱炎やストルバイト尿結石のお悩みにおすすめと前述しました。この裏返しで、シュウ酸カルシウム尿結石で悩んでいる子にはNGのフルーツとなります。
尿石症は、石の種類によって現在のその子の尿pHを、酸性に傾けたほうが良いのかアルカリ性に傾けたほうが良いのか、対応が異なります。
ストルバイト尿石症は、尿pHを弱酸性にコントロールして対処したいトラブルで、クランベリーの栄養成分や機能性が良い方向に働きます。一方、シュウ酸カルシウム尿石症は、尿pHを下げ過ぎず中性に近いレベルにコントロールして対処したいトラブルですので、クランベリーは避けなければなりません。
・ドライフルーツを選ぶときは砂糖や防腐剤などの原材料に注意
・クランベリーはシュウ酸カルシウム尿石症で悩む子にはNG
まとめ
クランベリーやブルーベリーとブドウの違いや、注意点を掘り下げてみました。
・クランベリー・ブルーベリーはツツジ科、ブドウはブドウ科の植物
・ブドウを犬に与えると中毒症状を引き起こすという報告があるが、詳細は明らかになっていない
・ブルーベリーは視力の感度をUPすると言われるアントシアニンを含む
・クランベリーは膀胱炎やストルバイト尿石で悩む子におすすめ
・ドライフルーツを選ぶときは砂糖や防腐剤などの原材料に注意
・クランベリーはシュウ酸カルシウム尿石の子にはNG
クランベリーやブルーベリーは、甘酸っぱい果実の中にビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富に含まれ、体の老化防止や健康を保つ抗酸化成分の含有量がとても多いフルーツです。
「りんごとクランベリーのおやつ」のように、犬たちと一緒にちょっと女子力が上がりそうな組み合わせを楽しんでみるのもおすすめです。
ワークショップでは、リンゴ酸で漬けたオーガニッククランベリーや、ブルーベリー・クランベリー・ラズベリーの3種のベリーミックスのサプリメントを使っています。
ブドウ(レーズン)と似ている問題を整理しつつ、犬との暮らしに上手に取り入れられると良いですね!